目次
 
凡例                                          
 
序 《梶原一騎》という問題                               
 
第一章 〈少年もの〉前史〜《梶原一騎》への水脈〜                   
 
第一節 源流・巌谷小波のお伽噺                            
【「文壇の少年家」から「お伽の小父さん」へ:〈少年もの〉作家・巌谷小波の誕生】
【「お伽噺」というスタイルと〈少年もの〉の意味の変容】
【そして「桃太郎主義」へ:「あれよ」の物語と荒唐無稽の賞賛】
 
第二節 分水嶺・佐藤紅緑の少年小説                          
【少年小説作家としての再出発:通俗小説と少年小説の架橋】
【「あゝ玉杯に花うけて」:“友情・努力・正義”の「リアル」な物語】
【「少年の理想主義」の讃美歌:《佐藤紅緑》の意味】
 
第三節 出版メディア産業による〈少年もの〉の演出:『少年世界』から『少年倶楽部』へ  
【博文館ジャーナリズム:〈少年もの〉の商品化への一階梯】
【野間清治と講談社文化:〈少年もの〉への実利性注入】
【『少年世界』から『少年倶楽部』へ:〈少年もの〉メディアの変遷】
 
第四節 〈少年もの〉における「成長」と国家の「成長」との交差             
【「成長」概念のアナロジーと〈少年もの〉批判の内実】
【「桃太郎主義」における「成長」:啓発される〈少年〉】
【「少年の理想主義」における「成長」:〈少年〉の立身出世の奨励】
 
第二章 〈少年もの〉の語り部〜梶原一騎と《梶原一騎》の世界〜             
 
第一節 〈少年もの〉と劇画との邂逅−《梶原一騎》の誕生−               
【「劇画」という思想:アンチ「漫画」としての出発と変容】
【「笑い」との訣別:「リアリズム」志向と《梶原一騎》との接点】
【「原作者」という立場:「第二の佐藤紅緑」への決意と《梶原一騎》の誕生】
 
第二節 「成長」を確認する舞台:精神修養の場としての〈スポーツ/格闘技〉       
【「成長」の確認作業としての〈スポーツ/格闘技〉】
【リアルな「成長」の舞台:〈実録〉と〈創作〉の架橋】
【《梶原一騎》における「成長」の価値:梶原版「少年の理想主義」の内実】
 
 
第三節 週刊少年誌における〈少年もの〉の演出:『少年マガジン』というスタイル     
【「主食」としてのマンガ/劇画路線】
【「1枚の絵は1万字にまさる」:“新・劇画宣言”とその波紋】
【『少年マガジン』と〈少年もの〉読者層の変容】
 
第四節 《梶原一騎》と〈全共闘的なるもの〉との交差                  
【戦後的「逆説」のアナロジーによる《梶原一騎》論】
【「《梶原一騎》/『少年マガジン』の時代」という認識に潜む隘路】
【泥臭き「成長」志向と「国家」意識の希薄化】
 
第三章 〈少年もの〉をめぐる「闘争」の系譜                      
 
第一節 “友情・努力・勝利”と限りなき「成長」:『少年ジャンプ』という「帰結」    
【“友情・努力・勝利”と〈少年もの〉の再構築:『少年ジャンプ』の戦略】
【「成長」の認証としての“勝利”:「勝利至上主義」と〈少年もの〉の変容】
【“勝利”し続けることのジレンマ:「成長」の確かさの喪失】
 
第二節 「童心主義」と「理想主義」:〈少年もの〉をめぐる「闘争」・1         
【「童心主義」と「理想主義」との相克:「二つの児童文学」の流れ】
【「桃太郎主義」に内包されていたもの:「大人しくない〈少年〉」の内実】
【「郷愁」としての〈少年もの〉/「メッセージ」としての〈少年もの〉】
 
第三節 「悪書追放」運動の思想:〈少年もの〉をめぐる「闘争」・2           
【「悪書」概念と〈少年〉読者の「読みの自由」】
【〈少年〉読者の「読みの自由」の許容範囲の系譜】
 
結 《梶原一騎》への回答                               
 
参照・引用文献リスト                                 
 
付録:梶原一騎関連年表